抽出実験①、②まとめ

ドリップ実験

抽出条件がTDS・pH・残液TDSに与える影響

— 2回の抽出実験結果の総括 —

これまでに、
ブリューレシオ・挽き目・抽出温度を変えた条件で、
TDS・pH・残液TDSを測定する実験を2回行いました。

本記事では、それらの結果をまとめて振り返り、

  • 数値の再現性について
  • 各操作因子がTDS・残液TDS・pHにどう影響したか
  • 現時点で言えそうなこと/言えないこと

を整理します。

あくまで現段階の途中経過としての総括です。

(それぞれの実験の詳細は↓を参照。)

抽出実験①

抽出実験②


実験結果一覧(2回分まとめ)

水準No.Brew ratioミル クリック数抽出温度 (℃)カップTDS (%)残液TDS (%)pH
1-11518931.760.765.11
1-21824931.460.864.95
1-31524931.570.964.93
1-41818931.600.694.94
2-11524931.480.855.04
2-21524831.420.895.13
2-31518831.670.815.13
2-41818831.440.705.11
2-51518931.710.845.02

再現性について(TDS・pHのずれ)

まず率直に書いておくと、

  • TDS
  • pH

ともに、
1回目と2回目で完全には一致していません。

これは、

  • 屈折率方式TDS計の校正条件
  • pH計のドリフト
  • 室温や測定タイミングの違い
  • 初使用による操作の不慣れ

といった要因が重なっている可能性が高いと考えています。

したがって本記事では、

絶対値の一致よりも、
各実験系の中での相対的な変化

に注目して整理します。

校正手順や測定の安定化については、
今後明確に詰めていく必要がある、という点も今回の重要な学びでした。


TDSに対する操作因子の影響

全体を通して見ると、
TDSについては以下の傾向が比較的一貫して見られました。

  • Brew ratio を小さくする → TDSは高くなりやすい
  • 挽き目を細かくする → TDSは高くなりやすい
  • 抽出温度を高くする → TDSは高くなりやすい

これは、一般に知られている経験則とも整合します。

ただし重要なのは、

同じTDSの上がり方でも、残液TDSへの影響の仕方は異なる

という点です。


残液TDSから見える違い

残液TDSを併せて見ることで、
TDSの増加が「同じ意味を持たない」ことが見えてきました。

  • Brew ratioを下げた場合
    → 抽出後半でも比較的濃い液が残りやすい
  • 挽き目を細かくした場合
    → 抽出が早期に進み、残液は薄くなりやすい
  • 温度を上げた場合
    → 抽出全体が前倒しで進むが、残液TDSへの影響は条件依存

つまり、

TDSは上がっているが、
抽出が「どのフェーズまで進んだか」は異なる

という状態が起きていると解釈できます。

この点は、
前回整理した「残液TDS=抽出段階の指標」という考え方とも一致します。


pHに影響していた因子は何か

一方で pH については、
かなりはっきりした傾向が見えました。

pHに明確に影響していたのは「抽出温度」

  • 抽出温度を下げる(93℃ → 83℃)
    pHは高めに出る

この傾向は、
Brew ratio や 挽き目 を変えても大きくは変わりませんでした。

すなわち今回の範囲では、

pHに支配的に効いている操作因子は抽出温度

と整理できます。

例外:1-1のpHについて

1-1(15 / 18 / 93℃)のpHは、
この傾向から外れてやや高めの値を示しています。

しかし、

  • 1-1と同条件の 2-5
  • 1-3と同条件の 2-1

との比較から考えると、

計測ミス、もしくは操作由来の誤差

である可能性が高いと判断しています。

初めて使用したpH計であったこともあり、1-1時点での不慣れによる影響は否定できません。


全体の整理(現時点の結論)

2回の実験を通して、
現段階で言えそうなことをまとめると以下の通りです。

  • TDS・pHともに再現性には改善の余地がある
  • 校正手順・測定条件の整理は今後の課題
  • TDSは
    • Brew ratio
    • 挽き目
    • 抽出温度
      の影響を受ける
  • ただし、それぞれが 残液TDSに与える影響は異なる
  • pHに明確に影響していたのは抽出温度のみ
  • 温度を下げるとpHは高めに出る
    → 酸味成分が抽出されにくくなる可能性
  • 例外的なデータ点は、再現実験により計測ミスの可能性が高いと判断

ただし、今回は収率(Extraction Yield)の観点が抜けていたため、
残液TDSは、収率を加味してもなお意味を持つ指標なのかどうか?
という点は要検証項目と考えています。

今後に向けて

今回の結果は、

  • 抽出途中(2分30秒)で切り上げている
  • 抽出フェーズの「一断面」を見ている

という制約付きのものです。

今後は、

  • 抽出時間の変更
  • 落ち切りまでの挙動
  • 校正手順を固定した再現実験
  • 収率(Extraction Yield)の評価
  • 豆が変わるとどのような変化が見られるか

などの検証を考えています。

今回の検証から、少なくとも、

TDSとpHを同時に測ることで、抽出を別の角度から分解して見られる

という感触は、かなりはっきりしてきました。

それではまた!

関連する実験の内容はこちらを参照↓

抽出実験① ~ブリューレシオと挽き目の影響~

抽出実験② ~抽出温度の影響~

計測項目に関する内容はこちらを参照 計測について

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