抽出条件がTDS・pH・残液TDSに与える影響
— 2回の抽出実験結果の総括 —
これまでに、
ブリューレシオ・挽き目・抽出温度を変えた条件で、
TDS・pH・残液TDSを測定する実験を2回行いました。
本記事では、それらの結果をまとめて振り返り、
- 数値の再現性について
- 各操作因子がTDS・残液TDS・pHにどう影響したか
- 現時点で言えそうなこと/言えないこと
を整理します。
あくまで現段階の途中経過としての総括です。
(それぞれの実験の詳細は↓を参照。)
実験結果一覧(2回分まとめ)
| 水準No. | Brew ratio | ミル クリック数 | 抽出温度 (℃) | カップTDS (%) | 残液TDS (%) | pH |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1-1 | 15 | 18 | 93 | 1.76 | 0.76 | 5.11 |
| 1-2 | 18 | 24 | 93 | 1.46 | 0.86 | 4.95 |
| 1-3 | 15 | 24 | 93 | 1.57 | 0.96 | 4.93 |
| 1-4 | 18 | 18 | 93 | 1.60 | 0.69 | 4.94 |
| 2-1 | 15 | 24 | 93 | 1.48 | 0.85 | 5.04 |
| 2-2 | 15 | 24 | 83 | 1.42 | 0.89 | 5.13 |
| 2-3 | 15 | 18 | 83 | 1.67 | 0.81 | 5.13 |
| 2-4 | 18 | 18 | 83 | 1.44 | 0.70 | 5.11 |
| 2-5 | 15 | 18 | 93 | 1.71 | 0.84 | 5.02 |
再現性について(TDS・pHのずれ)
まず率直に書いておくと、
- TDS
- pH
ともに、
1回目と2回目で完全には一致していません。
これは、
- 屈折率方式TDS計の校正条件
- pH計のドリフト
- 室温や測定タイミングの違い
- 初使用による操作の不慣れ
といった要因が重なっている可能性が高いと考えています。
したがって本記事では、
絶対値の一致よりも、
各実験系の中での相対的な変化
に注目して整理します。
校正手順や測定の安定化については、
今後明確に詰めていく必要がある、という点も今回の重要な学びでした。
TDSに対する操作因子の影響
全体を通して見ると、
TDSについては以下の傾向が比較的一貫して見られました。
- Brew ratio を小さくする → TDSは高くなりやすい
- 挽き目を細かくする → TDSは高くなりやすい
- 抽出温度を高くする → TDSは高くなりやすい
これは、一般に知られている経験則とも整合します。
ただし重要なのは、
同じTDSの上がり方でも、残液TDSへの影響の仕方は異なる
という点です。
残液TDSから見える違い
残液TDSを併せて見ることで、
TDSの増加が「同じ意味を持たない」ことが見えてきました。
- Brew ratioを下げた場合
→ 抽出後半でも比較的濃い液が残りやすい - 挽き目を細かくした場合
→ 抽出が早期に進み、残液は薄くなりやすい - 温度を上げた場合
→ 抽出全体が前倒しで進むが、残液TDSへの影響は条件依存
つまり、
TDSは上がっているが、
抽出が「どのフェーズまで進んだか」は異なる
という状態が起きていると解釈できます。
この点は、
前回整理した「残液TDS=抽出段階の指標」という考え方とも一致します。
pHに影響していた因子は何か
一方で pH については、
かなりはっきりした傾向が見えました。
pHに明確に影響していたのは「抽出温度」
- 抽出温度を下げる(93℃ → 83℃)
→ pHは高めに出る
この傾向は、
Brew ratio や 挽き目 を変えても大きくは変わりませんでした。
すなわち今回の範囲では、
pHに支配的に効いている操作因子は抽出温度
と整理できます。
例外:1-1のpHについて
1-1(15 / 18 / 93℃)のpHは、
この傾向から外れてやや高めの値を示しています。
しかし、
- 1-1と同条件の 2-5
- 1-3と同条件の 2-1
との比較から考えると、
計測ミス、もしくは操作由来の誤差
である可能性が高いと判断しています。
初めて使用したpH計であったこともあり、1-1時点での不慣れによる影響は否定できません。
全体の整理(現時点の結論)
2回の実験を通して、
現段階で言えそうなことをまとめると以下の通りです。
- TDS・pHともに再現性には改善の余地がある
- 校正手順・測定条件の整理は今後の課題
- TDSは
- Brew ratio
- 挽き目
- 抽出温度
の影響を受ける
- ただし、それぞれが 残液TDSに与える影響は異なる
- pHに明確に影響していたのは抽出温度のみ
- 温度を下げるとpHは高めに出る
→ 酸味成分が抽出されにくくなる可能性 - 例外的なデータ点は、再現実験により計測ミスの可能性が高いと判断
ただし、今回は収率(Extraction Yield)の観点が抜けていたため、
残液TDSは、収率を加味してもなお意味を持つ指標なのかどうか?
という点は要検証項目と考えています。
今後に向けて
今回の結果は、
- 抽出途中(2分30秒)で切り上げている
- 抽出フェーズの「一断面」を見ている
という制約付きのものです。
今後は、
- 抽出時間の変更
- 落ち切りまでの挙動
- 校正手順を固定した再現実験
- 収率(Extraction Yield)の評価
- 豆が変わるとどのような変化が見られるか
などの検証を考えています。
今回の検証から、少なくとも、
TDSとpHを同時に測ることで、抽出を別の角度から分解して見られる
という感触は、かなりはっきりしてきました。
それではまた!
関連する実験の内容はこちらを参照↓
計測項目に関する内容はこちらを参照 計測について


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