ドリップ時の温度についての調査

ドリップ実験

サーモグラフィーでハンドドリップ抽出過程を可視化してみた

〜注ぎ湯温度は投数ごとにどう変化しているのか〜

はじめに|なぜサーモグラフィーを使おうと思ったか

これまで本ブログでは、
TDSやpHといった数値化可能な指標を中心に、ハンドドリップ抽出の再現性について検討してきました。

一方で、

  • 抽出温度
  • 注湯中の湯の挙動
  • ドリッパー内での温度分布

といった要素は、重要であることは分かっていても、
「抽出温度◯℃」といった単一の数値に還元されがちです。

しかし実際には、
どこに、どの温度の湯が、どのタイミングで注がれているのか
というプロセスそのものが、抽出挙動に影響しているはずです。

そこで今回、
サーモグラフィーを用いて抽出過程そのものを可視化してみる
という試みを行いました。

正直に言うと、撮影と抽出を同時に行うのは想像以上に難しく、
タイマー操作や注湯操作がかなりぐちゃぐちゃになりました……。
(特に1投目をきれいに撮り損ねたのは痛恨・・・)

実験操作事体に課題を含みますが、一旦記事にまとめてみたいと思い書いてみました。


実験条件

環境条件

  • 室温:20.1℃
  • 湿度:42 %RH

共通条件

  • 豆:グアテマラ オーロラ農園
  • 豆量:22 g
  • ミル:TIMEMORE C2
  • ドリッパー:HARIO V60
  • ドリップ手順:4回投入(各40秒)
  • Brew ratio:17
  • ミル クリック数:22
  • ケトル設定温度:90℃

※本記事で言及する「2投目」「4投目の温度」は
ケトル内の湯温ではなく、サーモグラフィーで観測された注ぎ湯温です。


サーモグラフィー画像について

今回使用したサーモグラフィーでは、

  • 放射率:0.97
  • 観測距離:1 m

というデフォルト設定のまま測定しています。

そのため、

  • 絶対温度の精度
  • 金属ケトルや水面反射の影響

については、今後の検証課題として残っています。

今回はあくまで、
「相対的な温度変化の傾向を見る」
という位置づけで扱います。


観測結果|注ぎ湯温度の変化

撮影できた範囲で整理すると、以下のような傾向が見られました。

2投目

  • 注ぎ湯の観測温度:約82℃

4投目

  • 注ぎ湯の観測温度:約77℃

ケトル内の設定温度は90℃でしたが、
抽出が進むにつれて、注ぎ口から出ている湯の温度は明確に低下しています。

これは感覚的には理解していたものの、
実際に可視化されると想像以上に温度差が大きいことが分かります。

*ただし温度の絶対値についてはサーモグラフィーの設定の関係でずれている可能性はあります。
 一方で2投目から4投目までの間に約5℃下がるという点については信頼性があると考えます。

また、4投目ではドリッパー内の温度が注ぎ湯温度に近いですが、
2投目くらいではまだドリップ内の温度があまり上がっていないことも見て取れます。

*今回はTDSやpHは測定していません。


考察①|「抽出温度90℃」という表現の曖昧さ

今回の結果から強く感じたのは、

「抽出温度90℃」という一文が、
実際の抽出プロセスの観点からみると不確定性を多く含む表現

という点です。

  • 1投目:90℃に近い可能性(*ここの注ぎ湯の観測温度を取り損ねたのは痛恨・・・)
  • 2投目:すでに80℃前後
  • 4投目:70℃台

となると、
1杯のコーヒーの中で、温度条件は時間とともに大きく変化している
ことになります。

今後、

  • 抽出温度
  • 投数
  • 注湯量

を議論する際には、
「どの投で、どの温度帯の湯が使われているのか」
という視点が必要だと感じました。

実際にはそんなことを観測しながらハンドドリップをするのは面倒でやってられないと思いますが、ケトルの保温性能や滴下待ちの間のケトルの状態の管理などによりコントロールすることは再現性を高めるためには必要なことかもしれませんね。


考察②|計測条件の限界と今後の課題

今回の実験には明確な課題もあります。

  • 放射率・距離設定が未最適
  • 水面・金属の反射影響
  • 1投目の撮影失敗
  • 操作が煩雑で再現性が低い

特に1投目のデータが欠けている点は大きく、
次回は

  • 三脚固定
  • 操作手順の簡略化

などを行い、
「撮ること」を前提にした抽出設計が必要だと感じました。

この撮影を1人でやりながらやるには46メソッドはやや操作が複雑だと感じたので、
初期はもう少し手数の少ない抽出操作にしようと思います。


まとめ|今回は途中経過、でも大きな一歩

今回のサーモグラフィー実験は、
決して完成度の高い検証とは言えません。

ただし、

  • 注ぎ湯温度は投数ごとに大きく変化している
  • 「抽出温度」という単一指標の限界
  • 可視化がもたらす気づきの多さ

といった定性的にはわかっていたけどスルーしていた点を、
数値化して確認できたことは収穫でした。

何となく気にはなっていたけど通り過ぎていた事象を、数値化して確かめていく。
このブログでは、今後もそんな試行錯誤を記録していこうと思います。

次回は、

  • 1投目を含めた再撮影
  • 放射率・距離条件の影響度の検証

あたりをテーマに進めていこうと思っています。

また、ペーパーリンス時の温度やドリッパーのサイズや材質の影響なども評価してみたいところではありますね。

こんなところが気になってるということなどあればコメント頂けると嬉しいです。

それではまた!

抽出に使用している器具類はこちらを参照 使用器具・抽出環境

使用したサーモグラフィーはこちら

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