ドリッパーから水が落ちる時間を計算してみた②

ドリップ実験

〜ハリオV60形状を固定して孔サイズだけ変えて計算してみた〜

はじめに|ドリッパー形状と抽出・味の関係

一般的に、ドリッパーの形状や底孔のサイズ・個数は、水の落下速度=滞留時間に大きく影響すると言われています。滞留時間はコーヒーの抽出進行や味に直結するため、ドリッパー選びは味づくりに重要です。

  • ハリオ V60(円錐形)
    • 底孔1つ、孔径大きめ
    • 水は速く落ち、滞留時間は短め
    • 抽出は短時間で進み、軽やかでクリアな味わいになりやすい
  • カリタ(台形)
    • 底孔3つ、小孔
    • 水の落下は比較的ゆっくり、滞留時間は中程度
    • 抽出時間がやや長めで、味は均一でバランスが取りやすい
  • メリタ(台形)
    • 底孔1つ、小孔
    • 水の落下はゆっくりで、滞留時間は長め
    • 抽出がじっくり進むため、濃厚でしっかりした味わいになりやすい

一般論として「V60は軽やか、カリタはバランス型、メリタは濃厚」といった味傾向は、ドリッパー形状と排出速度に起因すると考えられています。


計算方法の簡単な復習

排出時間 TTトリチェリの法則 を使い、円台タンクの断面積 A(h)A(h)に合わせて微分方程式を立てています。dhdt=AoA(h)2gh\frac{dh}{dt} = \frac{A_o}{A(h)} \sqrt{2 g h}ここで AoA_o​ は孔径・孔数から計算した排出口面積です。

積分すると閉じた形で排出時間 TT が求められます:T=0HA(h)Ao2ghdhT = \int_0^H \frac{A(h)}{A_o \sqrt{2 g h}} dh

*詳細はこちらを参照 ドリッパーから水が落ちる時間を計算してみた


ドリッパー孔径・孔数が排出時間に与える影響を計算してみた

今回は 「ハリオV60のタンク形状はそのまま、孔径・孔数だけを変更」 して、排出時間を計算しました。
※メリタやカリタそのものを再現したわけではなく、孔条件が排出にどれくらい影響するかを見るための大まかな計算です。

条件整理・計算結果

ドリッパー想定孔径孔数Ao(排出口面積)結果(排出時間)
V60 20mm 1孔20 mm1個Φ20mm 1個の面積約2.16秒
メリタ4 mm1個Φ4mm 1個の面積約54秒
カリタ4 mm3個Φ4mm 3個分合計面積約18秒

前提:V60のタンク形状はそのまま、孔径・孔数だけを変更しています。


計算結果からの気づき

  • 孔1個(メリタ想定):排出時間は約54秒
    → 小さな穴1つだと水はゆっくり落ちます。
  • 孔3個(カリタ想定):排出時間は約18秒
    → 同じ径でも孔が複数あると一気に落下速度が上がります。
  • V60 20mm・1孔:約2秒
    → 孔径が大きいため滞留時間は短く、軽やかに抽出されます。

ドリッパー形状は同じでも、孔径・孔数だけで滞留時間は数倍〜数十倍変化することが分かりました。
実際の抽出ではフィルターや粉の抵抗も影響しますが、ドリッパー単体の条件としての影響度は大きいです。


まとめ|孔径・孔数で滞留時間は大きく変化

今回の計算から分かること:

  • V60 Φ20 1孔:2秒程度でほぼ落下
  • カリタ Φ4 3孔:18秒
  • メリタ Φ4 1孔:54秒

孔径・孔数によってドリッパー内の滞留時間は大きく変わることが確認できました。実際にはフィルターや粉の影響が支配的でここまでの差異は出ないとは思いますが、ドリッパー単体の寄与度を大まかに見積もることができました。


今後の展望

  • フィルター抵抗や粉層の影響を加味した排出時間
  • 実際のドリッパーでの落下時間との比較
  • 流体の物性の影響の考慮
  • リブの影響の考慮

こうした検討を進めて、より現実的に即した形にして抽出の参考になるものへとブラッシュアップしていきたいと思います。


それではまた!

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