はじめに(実験のきっかけ)
これまで主にハリオV60を用い46メソッドをベースにして日常的にコーヒーを楽しんできました。
一方で、「手軽さ」や「再現性」という観点では、メリタの台形ドリッパーは日常使いに向いているのではないかと思い、今回あらためて使ってみることにしました。
まずは深く考えず、
V60と同じ感覚で挽き目や抽出温度を設定し、
メリタ推奨の「蒸らし+1投(計2投)」で抽出してみました。
……すると、
「あれ、薄い?」
見た目の色も薄く感じたためTDSを測定してみたところ、
やはりTDSも低めの値でした。
結論から言うと、
V60の延長として使い、「2投」という点だけを切り取って適用すると、明確に薄くなります。
そこから、
- 挽き目や温度の設定が悪いのか
- そもそも投数の影響なのか
- メリタの2投抽出に適した条件はどこにあるのか
を段階的に検証していきました。
実験条件(共通)
- 使用豆:ブラジル ブルボン クラシック(中煎り)
- ミル:TIMEMORE C2
ドリッパー
- メリタ 1×2
- ハリオ V60 02(比較用)
実験の流れと結果
実験①
「普段の感覚でメリタを使ってみる」
メリタは「2投で淹れる」とされているため、
V60で46メソッドを行う際の感覚のまま、2投で抽出しました。
→ 結果:かなり薄い
TDS、収率ともに低く、
明確に抽出不足の方向でした。
実験②
「V60の46メソッド(5投)ならどうなるか」
ドリッパーはV60のまま、
46メソッド相当の5投で抽出。
→ 適正な濃さ
ここで、
「投数そのものが効いているのではないか」
という仮説が立ちます。
実験③
「条件そのままでドリッパーだけメリタに変更」
投数5、条件は実験②と同一で、
ドリッパーのみメリタに変更。
→ 適正な濃さ
この時点で、
- メリタだから薄くなる
のではなく、
- 少ない投数+粗めの挽き目
という組み合わせが原因である可能性が高くなりました。
実験④
「メリタ公式レシピを意識」
メリタ公式では、
- 豆8gに対して140cc
- 蒸らし湯量は豆量と同量
とされています。
公式比率を単純にスケールすると、
12gに対して210cc(1:17.5)となりますが、
今回は「薄さの原因を探る」目的のため、
- 豆量:12g
- ブリューレシオ:1:16.5(これまでの実験と揃える)
- 蒸らし湯量:豆量と同量
という条件に設定しました。
→ それでもまだ薄い
実験⑤
「挽き目を細かくする」
ここからは方針を切り替え、
- メリタ公式の「2投」を優先
- 濃くする方向で条件を調整
として、
- 挽き目を細かく
- メーカー推奨の ratio 1:17.5
- 投数は2投のまま
としました。
→ 良い濃さ
注目点として、
- 挽き目を細かくしても
- 抽出時間があまり伸びなかった
という点が挙げられます。
V60に比べて、目詰まりに強い可能性を感じました。
なお、蒸らしを豆量と完全に等量で全体に行き渡らせるのは難しかったため、
実際にはやや多めの蒸らし湯量になっています。
実験⑥
「過抽出ではなさそうなので湯温を上げる」
さらに、
- 挽き目はそのまま
- 抽出温度を上げる
という条件変更を実施。
→ より良いバランス
苦味が支配的になる印象はなく、
「まだいけそう」という感触がありました。
実験データ一覧
| No | ドリッパー | クリック | 豆量(g) | 蒸らし(g) | 温度(℃) | Ratio | 投数 | 時間 | TDS | 収率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | メリタ | 24 | 12 | 36 | 88 | 1:16.5 | 2 | 2:00 | 1.06% | 14.8% |
| 2 | V60 | 24 | 12 | 36 | 88 | 1:16.5 | 5 | 3:00 | 1.27% | 18.1% |
| 3 | メリタ | 24 | 12 | 36 | 88 | 1:16.5 | 5 | 3:15 | 1.31% | 17.7% |
| 4 | メリタ | 24 | 12 | 12 | 88 | 1:16.5 | 2 | 2:00 | 1.11% | 16.1% |
| 5 | メリタ | 18 | 8 | 12 | 88 | 1:17.5 | 2 | 2:20 | 1.18% | 18.0% |
| 6 | メリタ | 18 | 8 | 12 | 94 | 1:17.5 | 2 | 2:20 | 1.25% | 19.2% |

考察:メリタは「目詰まりに強い」のか?
今回の実験で特に印象的だったのは、
- 挽き目を細かくしても抽出時間があまり伸びない
という挙動です。
メリタドリッパーは、
- 台形構造
- 単穴
- ペーパーの密着が比較的安定
といった特徴を持ち、
流路が安定しやすく、部分的な目詰まりの影響を受けにくい可能性があります。
その結果として、
- 細挽き
- 高めの湯温
といった条件を、V60よりも許容しやすいのではないか、
という仮説が立ちます。
現時点での結論(暫定)
- メリタ公式の「豆8g・140cc・2投」を活かすには
挽き目を細かくし、抽出温度をやや高めに設定するのが有効 - V60に慣れていると不安になりがちな
「細挽き=目詰まり・過抽出」
という懸念は、メリタでは比較的小さい可能性がある - 少なくとも、V60と同じ感覚で条件を当てはめると失敗しやすい
豆の種類による影響があるので常に成立するわけではないと思いますが、
V60との相対比較という点では、参考になる部分があると感じています。
今後は、
- さらに挽き目を詰めた場合
- 目詰まりと過抽出の関係をどう定量化できるか
といった点についても掘り下げていく予定です。
普段と違う道具を使ってみると、新たな発見があるものですね。
それではまた!
今回使用したドリッパーはこちら

材質違い品もあります。
ちなみに陶器と樹脂の違いはこちらを参照ドリッパーの予熱時に材質の影響は?



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