はじめに(実験のきっかけ)
一般的には深煎りの方が濃いコーヒーというイメージだと思います。
実際のところTDSの値としてどれくらい違うんだろうと思って測ってみました。
ところが今回、
焙煎度だけが異なる同一銘柄の豆を、
完全に同じ抽出条件で淹れてみたところ、
- 深煎りの方が TDS が低い
- 味わいとしても明らかに薄い
という、少し意外な結果になりました。
理由は現時点でははっきりしていませんが、
今回は、その途中経過としての実験記録です。
実験条件(共通)
使用豆
- グアテマラ SHB ウエウエテナンゴ (近所のお店で購入)
- Mild(中煎り相当)
- Strong(深煎り相当)
器具・条件
- ドリッパー:メリタ 1×2
- ミル:1Zpresso K-Ultra
- 豆量:8g
- ブリューレシオ:1:17
- 投数:2投
- 湯温:94℃
- 蒸らし時間:30秒
焙煎度以外の条件はすべて揃えています。
実験データ
| 豆 | クリック数 | 抽出時間 | TDS | 収率 |
|---|---|---|---|---|
| Mild | 80 | 1:28 | 1.15% | 17.7% |
| Mild | 70 | 1:30 | 1.23% | 18.9% |
| Mild | 60 | 1:40 | 1.36% | 20.9% |
| Mild | 50 | 1:40 | 1.42% | 21.8% |
| Strong | 80 | 1:30 | 0.86% | 13.4% |
| Strong | 50 | 1:40 | 1.14% | 17.8% |
結果の整理
1. 中煎り(Mild)は順当に数値が伸びる
Mild の方は、
- 挽き目を細かくする
- 抽出時間がやや伸びる
- TDS・収率ともに素直に上昇
という、想定どおりの挙動でした。
2. 深煎り(Strong)は明確に低い数値
一方で Strong は、
- 80クリックでは TDS 0.86%、収率 13.4%
- かなり細かいはずの50クリックまで詰めても、ようやく Mild の中間程度
という結果になりました。
味わいとしても、TDSから予想されるなりに薄い
という印象でした。
なぜ「深煎り=薄い」結果になったのか?
現時点では断定できませんが、考えられる点はいくつかあります。
仮説① 粒度分布の違い
焙煎度が異なると、
- 豆の脆さ
- 割れ方
- 微粉の出方
が変わります。
同じクリック数でも、
- 中煎り → 微粉が適度に出て流速が落ちる
- 深煎り → 割れはするが微粉が少なく、意外と粗く揃う
といった粒度分布の違いが出ている可能性があります。
結果として、
ミルのクリック数の設定は同じでも粒度分布が異なり抽出効率が低い
という状態になっていたのかもしれません。
仮説② ガス量・構造変化の影響
深煎りはガス量が多く、
- 初期の濡れが阻害される
- 蒸らしが効きにくい
といった影響も考えられます。
2投という比較的シンプルな抽出では、
この影響が強く出た可能性もあります。
仮説③ 「抽出されやすい」と「濃くなる」は別
深煎りは「溶けやすい」と言われますが、
- 抽出されやすい
- 高TDSになりやすい
は必ずしもイコールではありません。
溶ける成分の総量自体が少ない、
あるいは溶ける前に流れてしまっている、
という可能性も否定できません。
現時点でのまとめ(暫定)
- 同条件抽出では、今回の豆では深入りの方がTDS・収率ともに低かった
- 焙煎度によって、同じミル設定でも粒度分布が変わる可能性が高い
- 「深入り=濃く出る」という前提は、条件次第で崩れ得る
という結果になりました。
今後やってみたいこと
- 粒度分布の確認(ふるい・写真比較など)
- 投数を増やした場合の焙煎度と抽出の進行度の関係性
- 蒸らし量・蒸らし時間を変えた場合の影響
このあたりを切り分けていけば、
今回の「なぜ?」にもう少し近づけそうです。
また進展があれば、続報としてまとめたいと思います。
それではまた!
*今回の実験は目詰まり実験の延長でついでに実施したものです。

コメント